那覇市役所・小禄支所は那覇市宇栄原にある同市市役所の支所で、那覇市小禄地区の管轄である行政施設です。那覇市は本庁地区、真和志地区、首里地区、小禄地区の4つに分散されています。小禄支所の建物は1974年に完成しました。同施設のトイレは2018年11月に取材し、2019年1月6日付の記事でも取り上げました。昨年、築45年を経過した現庁舎は老朽化により建て替えのため一時移転するということを那覇市は発表しました(改築案件はかなり前からあったと思われる)。
小禄支所の建物です。那覇市役所・小禄支所は本日2020年7月31日を以って、現庁舎での業務を終え、イオン那覇店ショッピングセンター1階へ一時移転します。8月11日(火)より仮庁舎となる、イオン那覇店1階での業務が開始されます。庁舎は本日以降、年度内に解体工事を開始予定で、竣工は2022年~2023年度の予定です。詳細についてはこちらをご覧ください(那覇市のサイトにリンクしています、時間が経つと削除される場合があります)。今回は、現庁舎での業務は最終日ということもあり、今日、再取材と同時に庁舎の最期を見てきました(今日、こちらを訪れた理由としては、閉鎖される前に建物を見ておきたいという理由もそうだが、本来は行われたはずのものを見ることが目的でした、そのはずだったものは最後にご覧ください)。
移転についての看板です。
■那覇市役所・小禄支所旧庁舎1階トイレ
洗面台はTOTOのL221を1台使用していました。蛇口はハンドル式単水栓を使用していました。
小便器はTOTOのU30(床置式)を3台使用していました。洗浄装置は押しボタン式フラッシュバルブによる個別洗浄でした。うち1台は初期TOTOマークでした。TOTOのU30はTOTOミュージアム見学の際に得た情報では、1920年より発売を開始したとの情報を得ています。1920年の発売であれば、1927年に発売されたU25(TOTOが戦前~戦時中にかけて製造していた大型ストール小便器)よりも先に販売されていたことになります(初期型のU30と思われる画像を他サイトで見たことはある、ロゴマークは大鷲マークだった)。こちらで設置されているものは中期型で、1980年以前の本体側面に窪みがあるものを使用しています(後期型はU30Rとなる)。TOTOが過去に製造していた小便器(U37・U57など)には本体側面に窪みがあるものがありました。U37やU57は1970年代前半には窪みを廃止したものに切り替わりましたが、U30のみ、しばらく窪みのある状態で販売が続きました。
初期TOTOマークです。右側の小便器は初期TOTOマークでした。初期TOTOマークは、1969年、後期Toyotokiマークから切り替って、1971年頃まで使用されていました。初期TOTOマークの比較的見かけるマークは字体の幅は大きくなっており、薄くなっていることが特徴的ですが、初期TOTOマークの末期のロゴと思われる、幅は初期TOTOマークと同じとなっているものの、自体は現行TOTOマークと同様、黒色となっています。かなりレアなマークではないかと思われます。
大便器個室は洋式1室のみでした。便器はTOTOのサイホン式便器CS80B+SH90BAを使用していました。個室は後年になって洋式化されたらしく、2階の機種(後述)から考えるとこちらは以前は同社C75を使用していたのではないかと思われます。
掃除流しも設置されていました。流しはTOTOのSK38を使用していました。しかし見ての通り、蛇口は小便器の水栓穴から引っ張っていることがわかります。また、既存の蛇口穴も見当たらず、排水管も塩ビ管が少し露出していたので、掃除流しは後年になって追加されたものではないかと思われます。
■那覇市役所・小禄支所旧庁舎2階トイレ
2階のトイレです。こちらも1階のトイレと同じ配置、寸法になっていました。洗面台はTOTOのL221を使用していました。漏水のため、使用禁止となっていました。蛇口はハンドル式単水栓を使用していました。
小便器はTOTOのU30(床置式)を3台使用していました。洗浄装置は押しボタン式フラッシュバルブによる個別洗浄でした。
大便器個室は和式1室のみでした。便器はTOTOのC75+S570(1980年代前半以前の下給水のもの)を使用していました。
流しは、TOTOのSK38を使用していました。こちらも1階と同様、小便器から水を引っ張っていました。手洗いはこちら、と張り紙がありますが、おそらく洗面台が故障しているため、こちらを代用していたのではないかと思われます。
掃除流しの配管です。見ての通り、塩ビ管が露出していました。
そして、庁舎出入口に張られていたポスターです。本日、46年の歴史に幕を閉じました。そして、本日、見る目的で行ったもの、そして先述の本来なら行われるはずのものとは、閉庁式です。これまでにも那覇市では、10年ほど前、那覇市役所本庁舎・首里支所が老朽化のため、改築されており、どちらも、業務の最終日は、閉庁式・セレモニーが行われていましたが、今回、最終業務を終えた17時15分以降もそのような式を行われる様子は全くなく、役所職員に質問をしたところ、"コロナの影響で式は行わないことになった"と回答していました。式も行わずに幕を閉じたことは残念に感じましたが、今の状況では致し方ありません。しかし今回、最終日である今日、改めて建物を見物できたことはよかったです。現庁舎の解体工事は年内に着手予定で、新庁舎は2022年(令和4年)竣工予定です。
コメント
コメント一覧 (8)
U30は私の近郊でもどんどん姿を消しています。
このU30は、かつてカルミックか何か付いていたようですね。(FV下の膨らみ)
また、SK38ですが、これは洗濯流しの流用かもしれませんね。
私が昔見ましたSK38は正面にヘソのような丸い出っ張りがありました。
洗面台上の埋め込み化粧棚といい、古き良きトイレですね。
toyofan909
がしました
ご無沙汰しております、ご来場ありがとうございます。
そうですね、こちらの物件は以前にも記事で取り上げましたが、今回、建て替えのため閉所されるとのことだったので、改めて物件の視察と同時にトイレも再取材しました。
U30は、昭和40年代までの代表的な小便器で、主にホテルやデパートなどの高級な施設で導入されたのではないかと思われます。
確かにU30のFVの金具は私も気になっていました。
仰られている通り、以前はカルミックのサニタイザーが設置されていたのではないかと思われます。
SK38は確かに掃除流しというよりは洗濯流しではないかと思われます。
SK38も滅多に見かけません。
SK38の出っ張りのあるものは私もとあるコンビニのトイレで見たことはあります(店舗移転により消滅した)。
化粧台も古いトイレのイメージがありますね。
toyofan909
がしました
建て替えられのは残念ですね
マニア的には貴重ですし
沖縄で緊急事態制限が出てしまいます
2回目なので辛いとは思いますが
沖縄のコロナが終息する様に願っています
toyofan909
がしました
築46年で、トイレも洋式化された箇所や掃除流しなどを除けば当時のままと思われます。
U30やC75などはマニア度が高いと思います(床タイルはもちろん)。
確かに建て替えは残念なうえ、別れ惜しみますが、老朽化が進み、建物も危険となっているので致し方ないと思います。
ありがとうございます、気を付けますね。
確かに今年は昨年に比べ、遠征もあまりできておらず、辛いです。
一日も早く終息してほしいものです。
トイレマニアさんもコロナにはお気を付けください。
toyofan909
がしました
46年前の竣工で機器類全てはもちろん、建物本体を目にしても大変懐かしく、よくここまで活躍したと感心させられるばかりで個人的には目にする機会が皆無となった機器の一つであるU30を久々に目にし、貴重で目にすることが出来たのは嬉しく思い、今では東京都内と神奈川県内の某大手デパートの一部に現存しているくらいです。
C75に加え、底給水で金属製のレバーのS570(でよろしいでしょうか)も目にする機会は今では皆無でそれ故にここでお目にかかれたのは非常に嬉しく、取壊しで全滅となるのは非常に残念で寂しく感じますが、その代わり、新たに生まれ変わる庁舎にも期待を寄せたい、そんな風にも思いました。
toyofan909
がしました
お気持ち、お察し頂きありがとうございます。
はい、私の居住地でまさかこのような事態になっていることは本当に想像もできず、言葉がでません。
本当にありがとうございます、私も国民の一人として一日も早く終息することを祈っています。
確かに46年間、故障などによって使えなくなっていた箇所があったりとしていたことはありましたが、よく当時から現在まで残っていたと思います。
46年間洋式化された箇所を除き、稼働していたトイレも役目を終えました。
東京や神奈川のデパートでも当時のままのトイレがあるのですか。
私が知っている箇所では、新宿の高島屋のトイレでは20年位前のトイレが現存していることや、日本橋三越本店本館2階のトイレに、大鷲マークの洗面台やToyotokiのC1や旧型C48が現存していることくらいは知っていますが、それ以外は不明です。
デパートだと大半が改修されていると考えられるので。
C75、金属製のレバー、下給水のロータンクも少なくなっていますね。
新しくとも40年以上は前なので、今は特に少ないと思います。
C75+S570は出身小学校のトイレもそうでした(レバーも金属製で、下給水だった)。
しかし、出身小学校も校舎と体育館は、老朽化のため、来年度より取り壊しが決まっています。
私も6年間使ってきた施設で、残念なうえ、寂しいですが、庁舎、そして、出身小学校と新しくなることは期待しています。
toyofan909
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U30も昔はそこそこ見かけた記憶にありますが今やほとんど見かけなくなった便器になりました。隣町の病院には現役稼働中ですが。
レスティカを除いてすべてが見所と言えますがレスティカも世界初のCeFiONtectを標準採用した便器として歴史に残る便器のようですからね。現在のピュアレストもいいですけどレスティカ(QRシリーズ)の方が個人的には好みですね。
toyofan909
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はい、こちらの施設は建て替えられ、先週で最期の務めを終えました。
建て替えは惜しみますね。
もはやU30は消滅しつつありますね。
昔は高級な施設で主に使用されたのではないかと思われますが、沖縄では公衆トイレでも見かけます。
病院のU30は知っていますよ、U30は見られたのはあの病院のみでしょうか?
沖縄でも数か所では見てきましたが、多くはないようですね(特にU-100は2回~3回しか見たことがない)。
確かにレスティカを除けばすべてがマニア度の高い機器になりますね。
確かにCeFiONtectの初期品でもありますのでね。
私もレスティカ、QRと洗浄方式は好みですよ。
toyofan909
がしました